神山財団が
芸術支援プログラムを
はじめたきっかけ

神山財団の芸術支援プログラムは、あるピアノのメロディーとの出会いがあったおかげではじまりました。
もうXX年も前になりますが、当時私はカリフォルニアのシリコンバレーに頻繁に出張をしており、週末に小都市サンホゼのレコードショップに立ち寄った時、美しい心安らぐピアノのメロディーに出会いました。
それがジョナサン・リーという作曲家でありピアニストでもある彼の音楽との出会いです。彼のピアノの旋律にすっかり魅了された私は、その後彼のCDを頻繁にかけるようになり、今日までにたぶんXXXX回以上聴いていると思います。

家でくつろいでいる時、夜仕事をしている時、いろいろなことを思索する時・・・。
私はもともと音楽が好きですが、これまでの人生の中でこれほど幾度となく聴いた音楽は他にありません。彼の音楽は飽きること無く、その都度味わいを感じさせてくれます。疲れている時には安らぎ、苛々している時には気持ちを和ませてくれ、落胆している時は元気づけてくれました。そして、普段、静かな時には清々しさを運んでくれます。

これが「芸術の持つ癒しの力」を強く感じた体験でもあります。
彼の音楽に出会ってから数年後、私は一通の手紙を送り、「普段、私は仕事で忙殺されているけども、あなたの曲を聴くと安らぎを感じて、仕事に前向きに取り組めたり、一日の疲れが取れる。あなたの音楽によって大いに助けられた」という旨を伝えました。すると、目の不自由な彼に変わって、奥さんのディーナ・リーから喜びに溢れた温かい手紙が届きました。こうして彼らとの交流が始まり、彼の住む海辺の小さな静かな町カーメルで彼に会いに行きました。
その出会いをきっかけに、日本の忙しくしている方々にも彼の音楽を味わって貰えたら素晴しい、と思い日本でのCD販売も手伝うようになりました。

それからXX年が過ぎ、財団を設立することになった際に「芸術の持つ癒しの力」の支援もしたいという想いもあり、最初は「音楽」を志す学生を支援する話もありました。しかし、様々な方と話し合っていく中で、芸術の中でも「美術」を志す学生の方が経済的に苦しんでいる状況にあるという話を聞きました。そうであれば、美術学生を支援することも良いのではないか、という話になり「芸術支援プログラム」がスタートしました。

私がジョナサン・リーのメロディーを聴いて癒されたように、絵画を見て癒される方がきっと存在すると思います。音楽であっても、美術であっても、作家が自分の信念を強く持ち、真摯に作品に取り組むことによって、その作品に触れた方々が癒されることにつながるのだと思います。
「芸術の持つ癒しの力」、それはとても素晴らしいものです。この素晴らしさに気づき、財団として芸術分野に少しでも貢献できるきっかけを与えてくれたジョナサン・リーには感謝しかありません。
海を愛し、カーメルの街を愛する ピアニスト、ジョナサン・リーの安らぎの世界、あなたもぜひ体験してください。 2024年
一般財団法人神山財団 理事長 神山治貴